Intel Panther LakeのArc B390はゲームで使える?Radeon 890M・旧Arcとベンチマーク比較
2026年のノートPC選びで、Intelの「Panther Lake(パンサー・レイク)」は見逃せない存在です。正式な製品ブランドでは Intel Core Ultra Series 3 と呼ばれ、従来の「Core Ultra 200V / 200H」系とは別世代のモバイル向けSoCとして登場しました。
注目すべきは、CPUコアだけではありません。最上位系に載る Intel Arc B390 は、内蔵GPUとしては大きく性能を伸ばし、軽量ノートでのゲームやクリエイティブ用途の見え方を変えています。
ただし、「Panther Lakeなら全部Arc B390で高性能」という理解は誤りです。型番によってGPUがArc B390、Arc B370、または単にIntel Graphicsへ分かれます。また、実測値はノートPCの電力設定、冷却、メモリ容量・速度で変わります。
この記事では、Core Ultra Series 3の型番を見分ける方法、Arc B390のベンチマーク、前世代Intel・AMDとの比較、そしてBTOやノートPC購入時のチェックポイントを整理します。
掲載している実測ベンチマークは、各レビュー媒体が異なるノートPC・電力設定・メモリ構成で測定したものです。数値はGPUやCPU単体の絶対的な序列ではなく、性能帯をつかむ目安として読んでください。購入時は、必ず検討中モデルのCPU型番、GPU名、メモリ容量・規格、レビュー実測を確認しましょう。
結論:Panther Lakeを選ぶ価値は「Arc B390搭載機」を選べるかで大きく変わる
先に結論です。
| 使い方 | Panther Lakeの評価 | 選ぶべき条件 |
|---|---|---|
| Office、Web会議、写真整理、動画視聴 | 十分に高性能 | Core Ultra 5 / 7でもよい。画面、重量、端子、価格を優先 |
| 軽量ノートで画像編集や軽いゲームもしたい | 有力 | Arc B390またはArc B370を明記した機種を選ぶ |
| 1080pでPCゲームを楽しみたい | Arc B390は内蔵GPUとして有力 | LPDDR5X-9600級、32GB、冷却に余裕がある機種が望ましい |
| 最新AAAゲームを高画質・高fpsで遊びたい | 専用GPUが有利 | GeForce RTX 5060 Laptop GPU以上などを比較 |
| ローカルAI画像生成を本格的に行いたい | CPU内蔵GPUだけでは限界あり | NVIDIA GPUのVRAM容量、または大容量ユニファイドメモリ搭載機も比較 |
Core Ultra Series 3って書いてあれば、どれも同じくらいゲームに強いんですか?
そこが一番注意したい点だね。Panther Lakeという世代名より、搭載GPUがArc B390なのか、Arc B370なのか、それともIntel Graphicsなのかを先に見る。GPU名を見ないままCPUの“7”や“9”だけで選ぶと、期待と違うことがあるよ
Panther Lakeとは:Core Ultra Series 3になったIntelのモバイルSoC
Panther Lakeは、Intel 18Aプロセスを使うコンピューティングタイルを中心に、CPU、GPU、NPU、I/Oをタイルとしてまとめたモバイル向けSoCです。IntelはCore Ultra Series 3を、ビジネスPC、薄型ノート、ゲーミング機器、エッジ用途まで広く展開する製品群として位置付けています。
CPUは、Pコア(高性能コア)、Eコア(高効率コア)、LP-Eコア(低消費電力Eコア)を組み合わせます。上位の16コア構成は、4 Pコア + 8 Eコア + 4 LP-Eコアです。Core Ultra X9 388HとCore Ultra X7 358Hは、いずれもこの16コア構成で、ベース電力は25W。X7 358Hは最大96GBのLPDDR5X-9600メモリに対応します。
IntelはSeries 3について、最大180 Platform TOPSのAI処理性能も案内しています。これはCPU、GPU、NPUを合算したプラットフォーム全体の指標であり、NPU単体の性能や、ローカルAI画像生成の実行速度そのものではありません。AI PCとして見る場合も、使いたいアプリがNPUを使えるのか、メモリは足りるのかを確認する必要があります。
Panther Lakeの主な型番とGPUを先に把握する
Intel ARKで確認できる代表的な構成を、購入者目線で整理します。
| 代表型番 | CPUコア数 | 最大ターボ | GPU | 購入時の見方 |
|---|---|---|---|---|
| Core Ultra X9 388H | 16 | 5.1GHz | Arc B390 | 最上位。内蔵GPU性能を重視するなら本命 |
| Core Ultra X9 378H | 16 | 5.0GHz | Arc B390 | B390搭載の上位モデル |
| Core Ultra X7 368H / 358H | 16 | 5.0GHz / 4.8GHz | Arc B390 | 薄型ノート・高性能ミニPCで注目。搭載メモリと冷却を確認 |
| Core Ultra 5 338H | 12 | 4.7GHz | Arc B370 | B390より一段下だが、通常のIntel Graphicsより重要な候補 |
| Core Ultra 9 386H、Core Ultra 7 366H / 356Hなど | 16 | 製品ごとに異なる | Intel Graphics | “Ultra 9 / 7”でもB390とは限らない |
| Core Ultra 7 365 / 355、Core Ultra 5 336H以下 | 6~12 | 製品ごとに異なる | Intel Graphics | 日常用途向け。ゲーム性能は個別レビューで確認 |
ここで大切なのは、Core Ultra 9 386Hより、Core Ultra X7 358Hのほうが内蔵GPUが強い場合があることです。CPUのブランド階層だけでなく、GPUタイルの違いが大きいためです。
最大の注目はArc B390:12 Xe3コアを積む内蔵GPU
Panther Lakeの看板はArc B390です。Notebookcheckの検証によると、Arc B390は12 Xe3コアのGPUで、Core Ultra X9 388HとCore Ultra X7 368H / 358Hに搭載されます。Core Ultra 5 338HのArc B370は10 Xe3コア、その他の多くのSeries 3モデルは4または2 Xe3コアのIntel Graphicsで、性能帯は明確に分かれます。
つまり、同じPanther Lakeノートでも、次の三つは別物として考えるべきです。
| GPU区分 | 想定できる用途 | 選ぶ際の注意 |
|---|---|---|
| Arc B390 | 画像編集、軽~中量級ゲーム、外部GPUなしのミニPC、携帯ゲーム機 | メモリ帯域と冷却の影響が大きい。32GB以上が安心 |
| Arc B370 | 軽いゲーム、クリエイティブ、FHD中心のカジュアル用途 | B390並みとは考えず、実機ベンチマークを確認 |
| Intel Graphics | 日常用途、動画再生、軽い画像編集 | GPUゲーム目的で上位CPU名だけを選ばない |
Arc B390は旧Arc 140V / 140Tからどれほど伸びた?
Notebookcheckの3DMark Steel Nomad Lightでは、Arc B390搭載のCore Ultra X9 388H機が6,338点でした。同じデータベースでArc 140Tは3,692点、Arc 140Vは3,555点、Radeon 890Mは3,198~3,228点です。
| GPU | Steel Nomad Lightスコア例 | Arc B390を100とした目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| Arc B390(Core Ultra X9 388H) | 6,338 | 100 | Panther Lake上位GPU |
| Arc 140T | 3,692 | 58 | Arrow Lake-H世代の比較例 |
| Arc 140V | 3,555 | 56 | Lunar Lake世代の比較例 |
| Radeon 890M | 3,198~3,228 | 50~51 | Ryzen AI 9 HX 370などの比較帯 |
| Radeon 8060S | 9,653 | 152 | Ryzen AI Max+ 395の上位ユニファイドGPU |
| GeForce RTX 4050 Laptop GPU(60W例) | 7,254 | 114 | 専用GPU。消費電力・筐体条件は別物 |
この表だけを見るとArc B390はArc 140V / 140TやRadeon 890Mのほぼ2倍に見えます。ただし、内蔵GPUはシステムメモリを共有するため、LPDDR5Xの速度、メモリ容量、電力設定、冷却で大きく振れます。B390搭載機を買うなら、16GBより32GB、低速メモリよりLPDDR5X-9600級、静音最優先の極端に低い電力設定より性能モードを持つ機種のほうが性能を出しやすい傾向があります。
Radeon 890Mよりかなり強いなら、AMDよりIntelのほうが内蔵GPUでは上なんですね?
比較相手を一段広げよう。Radeon 890Mには強い結果が多いけれど、AMDのRyzen AI Max系に入るRadeon 8060Sはさらに上だ。B390は“薄型Windowsノートの内蔵GPUとして非常に強い”けれど、AMDの最上位ユニファイドGPUや専用GPUまで全部に勝つ、という意味ではないよ
ゲームの実測:1080pで遊べる場面が増えた。ただしAAAは設定調整が前提
Arc B390は、内蔵GPUでありながらFHD~1200pのゲームを現実的に狙える性能帯まで来ています。PC GamerのCore Ultra X9 388H検証では、『Cyberpunk 2077』が1080p・Medium設定で平均64fps、1200p・High設定・アップスケーリングなしでは平均53fpsという結果が掲載されています。
Notebookcheckの別検証でも、『Cyberpunk 2077』1920×1080・Ultra・FSRオフで、Arc B390搭載のCore Ultra X9 388H機は47.7fps、X7 358H機は47.2fpsでした。同じ表では、60WのGeForce RTX 4050 Laptop GPUが50.8fps、Radeon 8060Sが75.6fpsです。
| ゲーム・条件 | Arc B390の実測例 | 比較の読み方 |
|---|---|---|
| Cyberpunk 2077、1080p Medium | 64fps | PC GamerのX9 388H検証。設定を落とせば60fps級を狙える例 |
| Cyberpunk 2077、1200p High、アップスケーリングなし | 53fps | 内蔵GPUとしては非常に高いが、全タイトル・全機種を保証しない |
| Cyberpunk 2077、1080p Ultra、FSRオフ | 47.7fps(X9 388H) | 重いAAAでは“最高設定で常時60fps”とは言い切れない |
| Dota 2 Reborn、1080p Ultra | 111.8fps(X9 388H) | eスポーツ系・軽量級では高リフレッシュレートも現実的 |
Arc B390で期待できるのは、「専用GPUを積まない薄型ノートでも、設定を調整すればゲームを楽しめる」ことです。一方、WQHD / 4K、高画質レイトレーシング、長時間のAAAゲーム、高fps対戦ゲームを重視するなら、GeForce RTX 5060 Laptop GPUやRadeon RX系の専用GPU搭載機を比較したほうが満足しやすいでしょう。
また、フレーム生成やアップスケーリングは有効な選択肢ですが、対応ゲーム、画質、入力遅延、基礎フレームレートを確認すべきです。「フレーム生成で数字が高い」ことだけを基準にせず、まずネイティブまたはアップスケーリングのみの実測を確認してください。
CPUベンチマーク:単コアは強い。多コアは電力設定と比較相手で結論が変わる
Panther LakeはGPUが目立ちますが、CPUも改善されています。NotebookcheckがAsus ZenBook DuoのCore Ultra X9 388Hで測定したCinebench 2024 Single Coreは129.8点、同データベースのRyzen AI 9 HX 370搭載Zenbook S 16は113.6点でした。同レビュー内のGeekbench 6.7 Single Coreでは、X9 388Hが3,020点、Ryzen AI 9 HX 370搭載ProArt P16が2,857点です。
| ベンチマーク | Core Ultra X9 388H | 比較例 | 読み方 |
|---|---|---|---|
| Cinebench 2024 Single Core | 129.8点 | Ryzen AI 9 HX 370:113.6点 | 軽い処理やUIの反応に関わる単コアは強い結果 |
| Geekbench 6.7 Single Core | 3,020点 | Ryzen AI 9 HX 370:2,857点 | 異なる筐体なので差は参考値 |
| Cinebench 2024 Multi Core | 1,172点 | Ryzen AI 9 HX 370:1,213点(ProArt P16) | 多コアは冷却・電力枠が大きく影響し、常にPanther Lake優位ではない |
この比較から言えるのは、「Panther Lakeは単コア性能と効率に期待できるが、16コアだから常にAMDの上位モバイルCPUを圧倒するわけではない」ということです。Core Ultra X9 388Hは4 Pコア + 8 Eコア + 4 LP-Eコアで16コア16スレッド、Ryzen AI 9 HX 370は異なるコア構成・電力設計です。動画書き出し、コンパイル、3Dレンダリングのような長時間の多コア処理では、ノートPC本体が何Wを維持できるかが結果を左右します。
Arrow Lake-H、Lunar Lakeとの違い
前世代Intelの比較では、Core Ultra 9 285H(Arrow Lake-H)はCPU側のコア数や高い電力枠を活かせる一方、GPUはArc 140Tです。Lunar LakeのCore Ultra 7 258Vは低消費電力とバッテリーが強みですが、GPUはArc 140Vです。
Arc B390を使うPanther Lake上位機は、両者に対して内蔵GPUの伸びが非常に大きいのが特徴です。反対に、動画編集をCPUだけで長時間行う、複数の仮想環境を動かす、といった用途では、旧世代でも45W以上を長時間維持できる大型ノートが勝つことがあります。CPU名だけではなく、薄型か大型か、AC接続時の電力モード、搭載メモリ、専用GPUの有無をセットで比べましょう。
AMDとの比較:Radeon 890Mには優位、Ryzen AI Maxの8060Sは別格
AMD側の比較対象を分けると、Panther Lakeの位置付けがはっきりします。
Ryzen AI 9 HX 370 / Radeon 890Mとの比較
Ryzen AI 9 HX 370とRadeon 890Mは、薄型高性能ノートの代表的な比較対象です。Arc B390は、3DMarkや複数ゲームをまとめたNotebookcheckの評価でRadeon 890Mを明確に上回っています。CPU単コアでもCore Ultra X9 388Hは良い結果を出しています。
そのため、同程度の価格、画面、重量、メモリ容量なら、専用GPUなしでゲーム・画像編集を少しでも重視する場合、Arc B390搭載のPanther Lake機は強い候補です。ただし、Radeon 890M搭載機は既存モデルのセールや製品の選択肢が多いことがあります。価格差が大きいなら、CPU・GPUだけで決めず、画面・SSD・保証も含めて比較してください。
Ryzen AI Max+ 395 / Radeon 8060Sとの比較
Ryzen AI Max+ 395のRadeon 8060Sは、Arc B390より上の性能帯です。NotebookcheckのSteel Nomad Lightでは8060Sが9,653点、B390が6,338点。複数ゲームの評価でも8060Sが97.7ポイント、B390が約59ポイントでした。
ただしRyzen AI Max系は大容量ユニファイドメモリ、より高い価格、筐体・消費電力を含めて別のクラスです。GPUメモリを大きく使うローカルAI、重めのクリエイティブ、専用GPUを避けつつ高いGPU性能が欲しい人に向きます。薄型ノートで扱いやすい価格・重量・電池持ちを重視する人が、B390搭載Panther Lakeと単純に置き換えるものではありません。
| 比較相手 | Arc B390との関係 | 向く人 |
|---|---|---|
| Radeon 890M | B390がGPU性能で優勢になりやすい | 薄型ノートでゲーム・編集も重視する人 |
| Radeon 8060S | 8060Sが上位性能帯 | 大容量メモリを生かすAI・GPU計算を重視する人 |
| GeForce RTX 4050 Laptop GPU | ゲームによってB390が近づくが、専用GPUはVRAM・対応ソフトで有利 | AAAゲーム、CUDA系アプリ、AI画像生成を重視する人 |
| GeForce RTX 5060 Laptop GPU | B390より明確に上位を狙うべきクラス | 高画質ゲーム、動画編集、ローカルAIを長く使う人 |
BTO・ノートPCを選ぶときのチェックリスト
Panther Lakeを選ぶ場合は、商品ページの「Core Ultra Series 3」だけで判断しないでください。次の順で確認するのが確実です。
- CPU型番を確認する
Core Ultra X9 388H、X7 358Hのように型番まで見る。単に「Core Ultra 7」では判断しない。 - GPU名を確認する
“Intel Arc B390 GPU”または“Intel Arc B370 GPU”と書かれているか確認する。“Intel Graphics”なら性能帯は別になる。 - メモリ容量と規格を確認する
Arc B390は共有メモリを使う。ゲームや画像編集もするなら32GBを基準に考え、LPDDR5X-9600対応機では実際の搭載速度も確認する。 - 電力モードと冷却のレビューを見る
同じX9 388Hでも、薄い筐体の静音モードと、冷却に余裕があるミニPC・大型ノートの性能モードでは結果が違う。 - 画面解像度とゲーム設定を考える
2.8K OLED搭載ノートでも、ゲームはFHD級へ下げるほうが快適な場合がある。高解像度パネル=その解像度でゲームを動かす必要がある、ではない。 - AI用途ならNPUとGPUを分けて考える
NPUは対応するローカルAI機能や省電力推論向け。Stable DiffusionなどGPU・VRAMを大きく使う用途は、専用GPU搭載機のほうが扱いやすいことが多い。
“Arc B390搭載”と書いてあれば、メモリ16GBでも大丈夫ですか?
日常用途なら動くけれど、B390を生かしてゲームや画像編集をするなら32GBをすすめたい。内蔵GPUはメインメモリを使うから、容量も帯域も余裕があるほど安心だよ
まとめ:Panther Lakeは、内蔵GPU重視のWindowsノートを選びやすくした世代
Intel Panther Lake、すなわちCore Ultra Series 3は、全モデルが同じ性能ではありません。ですがArc B390を搭載するCore Ultra X9 388H、X9 378H、X7 368H / 358Hは、従来のArc 140V / 140TやRadeon 890Mを大きく上回る内蔵GPU性能を示しています。
- Arc B390は、旧Arc 140V / 140T、Radeon 890Mより明確に高いGPU性能を示す実測がある
- FHD~1200pなら、設定調整を前提にAAAゲームも現実的なフレームレートへ届く
- Radeon 8060Sや専用GPUはさらに上の性能帯。用途によって比較対象を変える
- CPU単コア性能は良好だが、多コア性能は電力・冷却・筐体によってAMD機との優劣が変わる
- 購入時はCore Ultraの番手ではなく、GPU名、メモリ、冷却、価格まで確認する
Panther Lakeは“内蔵GPUでもここまでできる”を一段進めた世代だね。ただし、B390搭載機を選んで初めて強みが出る。ゲームや編集をするなら、型番とGPU名をセットで確認しよう
薄型ノートで遊びも作業もしたいならArc B390、もっと重いゲームやAIをやりたいなら専用GPUも比べる、ですね!